省吾タオル



先日、他の病棟のナースから、緩和ケアチームに相談がありました。

あるガンで右手が2倍くらいに脹れてしまった患者さんへのアロマトリートメントの依頼です。

自分の働いている病棟では、結構アロマトリートメントしているのですが、

他の病棟の患者さんにするのは、まだ少なくて、2人目の方でした。


電子カルテである程度情報を入手して、病室に伺いました。

「はじめまして、緩和ケアチームの○○です。

よろしくお願いしますね。」と飛び切りの笑顔で挨拶をしました。

「はじめまして、よろしくお願いします。待っていました。」と患者さん・娘さん・ダンナさんと

挨拶を交わして、早速始めました。


まずは、好きなアロマの香りを選んでもらいます。

「柑橘系が好きだから、これがいいかな。」

彼女が選ばれたのは、ビタミンという商品名の柑橘系のオイルがすでにブレンドされたものです。


ペンギンちゃんももちろん、連れて行っていたので、同じオイルをミストにして香らせます。

静かな音楽を流しながら、深呼吸をしてもらって、トリートメントを始めました。


かなり、右手全体が脹れていて、固くなっていました。

まず、まだ腫れが少ない、左手からトリートメントすると、すぐに手の甲の腫れが引きました。

「凄い、手が握れます。本当に引くんですね!」と喜ばれました。


右手は肩まで2倍くらいに脹れているので、本当に最初はなでるようにゆっくり優しくトリートメント

しました。

徐々に少しずつ、力を込めて、手の先から、心臓にリンパの流れが良くなる様に

願いながら、トリートメントしました。


「気持ちいいです・・・幸せです・・・」とポソっとつぶやかれました。

こんなに手が脹れて、病気のところからは、浸出液が出て、不自由で辛い状態なのに

幸せって感じてもらえて、改めて、アロマテラピーの魔法みたいな力を実感しました。


「本当に気持ちいいです。魔法の手ですね・・・」とウットリとした表情でした。


ふと気が付くと、床頭台のところの、見覚えのあるハンドタオルが置いてありました。

「もしかして、娘さん、省吾のファンですか?あのタオル、省吾のでしょう?」

「そうですよ!!タオルで分かるなんて、凄いですね。追っかけですか?」

「まあ、追っかけしてます。」

としばらくトリートメントしながら、省吾の話で盛り上がりました。

患者さんであるお母さんも省吾の歌が好きということで、

「じゃあ、今度は省吾を流しながら、トリートメントしましょうね!!」と約束しました。


「省吾は本当に優しくて、強くて、いつも愛と勇気をくれるから、大好きなんですよ。」

と私が言うと、娘さんが

「じゃあ、省吾と一緒じゃないですか。愛と勇気をもらいましたよ。」と言ってくれました。


省吾と一緒・・・・・

一番の、最大級の褒め言葉です。


この患者さんとご家族と出会って、真剣にアロマセラピストになりたい、もっと上手に

もっとアロマの魔法が使えるようになりたい・・・と思うようになりました。


アロマセラピストなりたいじゃあなくて、なる!!って言霊にします。

今週末、学校見学に行こうと思います。